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入手して約1年、今メインのギターとして使っている2005年製Dupont VRBのネックが変になった。今年の暑さのせいか、あるいは、太めのジプシー弦を張りっぱなしにしてたせいか、アジャスタブルロッドをいっぱいに締めてもネックが順反ったまま、12フレット6弦側の弦高が5mm近くになっていた。
ロッド調整が効かないので、ネックの反りは指板の摺り合わせで平らにするしか無いのだが、1年も弾き続けたこともあり、フレット交換もそろそろということで、迷わず作業にかかった。この連休中に復活させたい。
指板の摺り合わせをするため、ナットが邪魔なので外しておく。フレットより先に外すのは、セルマー/マカフェリ・タイプのギターにはゼロ・フレットがあるため、ゼロ・フレットを先に抜いているとナットを外す時に指板が割れやすいからだ。
喰い切りとヤットコが一緒になったような専用工具でフレットを引きぬいてゆく。22本のフレットは簡単に抜けていった。
フレットを抜く作業をすることで、フレット打ちの前任者の仕事がよく分かる。このギターの場合はモーリス・デュポンさん、あるいは彼の工房の助手の仕事ということになる。マーチンやギブソンのフレット交換は何度もやったことがあるが、デュポンは初めてだ。しかも抜いてみてガッカリした。
指板に刻まれたフレット用の溝は、マーチンやギブソンに比べて幅広で、打ってあるフレットの足部分のサイズから見てもひろすぎる。つまり普通に打ったらグラグラということになる。それでは困るので何かボンドのようなものでほぼ全部のフレットが固定されていた。日本ではあまり見ない仕事であり、お世辞にも良い仕事とは言えない。結果として、今回のように早期にネックの順反りが起こってしまうのだろう。
プレイしていて、特定のフレットの音が他のフレットの音とニュアンスが違っていた。フレットを抜く時、そのフレットは抵抗なくスルっと抜けた。つまりそのフレットは指板と食いつきが悪かったようだ。
このVRBというモデル、円高の現在でも定価ベースでは100万円弱し、数年前までは120万円の値札が付いていた。昔なら女学校を建ててイロイロできたろう。ヨーロッパでは約9000ユーロもする高価な楽器だ。(通常、セルマー・タイプのレプリカは3000ユーロ前後だ)そんな楽器なのでフレット交換作業は慎重に行うつもりだったが、オリジナル・フレットのあまりの仕事の悪さに唖然としている。
弦を外してフレットを全部抜いたらネックの順反りが無くなった。ということは指板のフレット溝が全て悪いということになる。根本的解決は指板交換しかないが、今回の作業はそこまで見通していなかったので、足の太いフレットを在庫から探して打ってみよう。
明日中には弦を張って、火曜日のライブに備えないといけない。