BLOG

幻のメンチUpdate : 2005/03/02 Wed 02:46

関西でメンチはガン飛ばしの意味ですが、関東ではミンチカツをメンチと言います。誰が最初にメンチと言ったのでしょうか。

さて、そのメンチ、子供の頃から大好きで、定食屋ではトンカツ定食よりもミンチカツ定食(関西だからね)を好んで注文していました。そして、食べ歩きもしましたが、東京に出て来て、僕の中では決定版のメンチを見つけました。しかしながら、そのメンチは、まだ2回しか食べていません。そして、もう食べることもできないと思います。

そのメンチを初めて食べたのは9年前です。連れ合いが住んでいた西武池袋線石神井公園駅のすぐそばの路地を歩いていた時に、丁度昼飯時だったか、「なかがわ」という洋食屋が目に入り、いつものようにメンチ定食を注文しました。どうせ練馬の田舎の洋食屋だからと、そんなに期待していなかったのですが、出て来たメンチには驚きました。まず、カツレツが大きく、その上に自家製のドミグラ+トマトベースのソースがたっぷり掛けられて、ジュージュー言っているではないですか。メンチを切って口にほおばると、肉汁たっぷりでつなぎも多すぎず、衣も硬くなく、絶妙な味覚が舌を占領しました。調理していたのは、もう70歳を超えるかというご主人で、奥様が愛想良くウエイトレスをする10人も入れば満員のグリルでした。

その味が忘れられず、同じ沿線の中村橋に住んでからも何度か石神井公園まで足を伸ばしましたが、いつも閉店しており、悲しい思いをしておりました。ところが、昨年、他の用事で前を通りかかったら、「なかがわ」が開いているではありませんか。お腹が減っているわけでもないのに、メンチの味を求めて、中に入りました。店の中は8年前と同じでしたが、ご主人の姿が見えません。聞けば、あれから長病みしてお店を閉めていたが、とうとうお亡くなりになられたということでした。あの味は奥様が引き継いで、その時は奥様が調理されました。若干、衣が硬いかな、肉汁が少ないかな、と思いましたが、誤差の範囲で、懐かしい味を思い出しました。ソースも昔通りです。

先日、一年ぶりに、用事で石神井公園に行ったついでに、昼食を取るつもりで「なかがわ」に向かいました。店を見つけられないので、道を間違えたのかと思って何度も何度も道を確かめましたが、なんと、「なかがわ」があった場所はマンションの建築現場になっていました。もうあのメンチを食べることができなくなってしまいました。ショックのあまり、近くのそば屋で一番高い天ザルを注文してしまいました。「なかがわ」の奥様はどこへ行かれたのでしょうか。どこか他の場所でご商売されているのでしょうか。非常にローカルなことで誰も知らないかもしれませんが、もし、なかがわ情報をお持ちの方がいましたら、ぜひ教えてください。

実は、僕の母方の祖父(大阪)が料理人だったのですが、戦前に手作りのマヨネーズやドレッシングを使って、料理を店にだしていたというから、ハイカラなコックさんだったのでしょう。その祖父は孫を可愛がり、物心つかないうちから、洋食を食べさせてくれたようです。僕はぜんぜん覚えていないのですが、物心つかない頃に、父方の実家(東京/ここも飲食店を今でもやっている)に連れていかれた時に、一番好きな食べ物は?という問いに対して、ハンバーグと答えたらしいです。昭和37年頃のハンバーグは、庶民の料理では無かったのでしょう。母は姑に、なんという贅沢をさせているのだ!と叱られたそうです。しかし、僕にとって今でもオジイチャンの味はフライやサラダやハンバーグの洋食の味です。そのオジイチャンも死んで3年になります。こちらも、もう幻の味です。味が録音できるなら、保存しておきたかった…。

▼ Comments for this post

From : nirav   Date : 2005/03/02 09:12

天神橋のグリル・ナショナルに是非イッショニ行きましょう。

From : Hikaru   Date : 2005/03/02 19:40

niravさんてアダチ君かな?
今度帰阪したときにでも連れて行ってください>グリル・ナショナル
ネーミングが良いですね。そこ。

▼ Comment form