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Fake Resophonic GuitarUpdate : 2019/05/20 Mon 14:12

かなり以前に、アメリカのオークションで落札したジャンク同然の4弦ギター、リゾネータギターに見えますが、実はフェイクリゾフォニックと呼ばれる、リゾネータカバーのみ装着された、いわばパチモンのギターです。でも、たぶん1930年代の生産で、当時新製品として話題だったリゾネータギターに憧れるギターキッズ向けに作られた廉価製品だったのだと思われます。それが証拠に、たぶんRegal社製と思われますが、ロゴやクレジットは無く、確信犯的に作られたオモチャだということが分かります。

もちろん同種の製品に普通の6弦モデルもあったようですが、貴重な4弦モデルがジャンク価格で買えたので落札したという経緯です。リゾネータを組み込んで、オモチャではなく、ステージで使える楽器しようという思惑がありましたので、同時にリゾネータパーツを部材サプライ会社からも買っておきました。しかしながら、10年以上手付かずで壁に吊ったままでした。つい先日、急に思いつき、加工を始めてみました。

まずは、リゾネータ埋め込みのために、表板に大きな穴を開けました。茶の間での作業ですから、ジグゾーを使うと事が大胆ですので、ファイルソーという姑息な工具でゆっくりと開けていきました。1930年代は合板の方が単板よりも高級だったようで、これは全て単板で製作されていました。安物というステレオタイプからは期待を裏切られた感じですが、楽器としては上々ですね。

1930年代の楽器一般に言えることですが、元々付いていたフレットが細く角ばっていて大変弾きづらいと思いましたので、指板の摺り合わせと共に打ち替えました。もう驚きもしないくらい経験済みですが、廉価ギターの指板は黒く染めた白木を使っています。摺り合わせを行うと、指板が真っ白に!このままでも面白いのですが、人間用の毛染めを使って真っ黒に染めました。新しいフレットとエボニーのようになった指板がやたら高級感を醸し出しています。最後に、指板さいどにポジションマーカーを入れました。これは爪楊枝を埋め込んだだけです。

オリジナルのペグは、廉価モデルとしてコストを掛けないために、ウクレレ用みたいなフリクションペグが付いていました。当時はバンジョーでもそんな楽器が売られていましたので、イレギュラーでは無いのですが、それではあまりにもプレイヤビリティに欠けるので、バンジョー用のギヤ式ペグに換装しました。これは30年以上前に入手して使っていなかったものですが、フリクションペグが装着されていたペグヘッドの穴を広げること無くそのまま差し替えることが出来るナローシャフトという珍しい製品です。(ドイツ製ですが現在入手可能かどうかは不明です。)

本来のリゾネータギターは、リゾネータを組み込む部分にバンジョーのようなウッドリムを組み付けるわけですが、軽く仕上げたいのと工程を簡素にしたいために、策を練りました。簡単な図面を描き、大阪のウッドロードさんのshowさんに木工のお手間掛けて頂いて、サイズ通りの木片パーツを作っていただきました。(ありがとうございます!)
それで、こんな構造にしてみました。定説としては、重ければ重いほどリゾネータギターは鳴るらしいので、これはかなり冒険的な試みです。

リゾネータを受けるステイ(木製の柱)の接着が完了しましたら、いよいよリゾネータを組み込んで、弦を張り、弦高やピッチの調整です。この際、ピッチがかなり高めになってしまいましたので、ブリッジ部分のビスケットと呼ばれる部品の装着位置を、ボディエンド側にずらす加工をしました。そして、弦を止めるテイルピースを固定しているエンド部分はかなり力が掛かりますので、表板に大きな穴を開けてしまったので、ボディが変形してしまうことの予防対策として、エンド部を内側から補強するブレイスやステイを追加しました。

リゾネータ組み込みと弦回りの調整が終われば、金属製のリゾネータカバーを付けて作業完了です。元々付いていたカバーは、他のリゾネータギターのどんなモデルにも使われていないオリジナルなデザインです。

さて、チューニングをして弾いてみようということになりますが、スケールが25インチあって、いわゆるテナーギターの調弦(C-G-D-A)が出来ませんでした。(テナースケールは22インチまで)なので、バイオリンのオクターブ低い調弦、俗にオクターブマンドリン調弦と呼ばれるG-D-A-Eに合わせました。ヨーロッパでは、マンドラをこの調弦にします。

いずれ、テナー調弦の出来るリゾネータギターを作るか入手したいと考えています。

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