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最近、この「分厚いピック」で検索してこられる人が多いです。ちょっとしたブームなのでしょうか。以前もBLOGに書いたのですが、事情で記事が残っていないため、あらためて書いてみたいと思います。
もちろん、僕は分厚いピックを使っているわけですが、どれぐらい分厚いかは右の画像をご覧下さい。左側のやつが、普通のピックで厚めのもので、僕が使っているのは真ん中と右側のやつです。大きさは普通のと変わりませんが、厚さが5mmあります。Wegen PicksというところのTrimus 500というモデルを使っています。
さて、この分厚いピック、普通のピックと同じつもりで弾くと、全然弾けません。ピックの角が鋭くないので、弦の上を滑って空振りのようになってしまいます。ですから、思ったよりも深く弦に当てて弾くことになります。普通のピックの場合、深く弦に当てるとダウンストロークしかできませんが、この分厚いピックは角が滑らかなので、力むこと無くアップストロークができます。
多くのギター弾きは、ピックを持った手の位置が、サウンドホールの上か、もっとネック寄りのことが多いですが、分厚いピックはそれなりに硬い(まったくしならない)ために、その位置では弦が負けて良いサウンドがでません。弦が硬く感じるブリッジ寄りの位置でピッキングしなければなりません。ですから、ピッキングも強くなります。
ブルーグラスのリズムギターのようにブリッジめがけてストロークするような場合、ピックがブリッジを擦ってブリッジを削ってしまうことがよくありますが、分厚いピックではこのダメージが大きいので注意しなければなりません。また、ブリッジにピックがあたる度に、ゴンと鳴りますので、サウンド的にも良くないかもしれません。しかし、馴れれば、信じられないくらい快適にソロ弾けるので、試してみる価値はあるでしょう。
以上のように、分厚いピックの効能は、深く弦に当てるため、音を大きく出せることです。そして、滑らかなピックの角のおかげで、速弾きも楽にできます。
余談ですが、僕や回りのブルーグラス・プレイヤーは何十年も、いかに生音で大きい音を出すか格闘してきました。そのためには、自分のピッキングを工夫する他に、良く鳴る楽器を血眼になって探すこともやっています。本当に上手なプレイヤーの条件とは、大きい音で速く弾けることだと思います。それは、演奏のダイナミクスのキャパシティを拡げるからです。しかしながら、この二つの条件を兼ね揃えているのは、名人、名プレイヤーと呼ばれる人だけです。ですから、二つのうちどちらかでも頑張ろうというのが、世間一般でしょう。僕個人は、音数は少なくても、音量の大きい方を取りました。
ある時に、ジプシースタイルで演奏するアマチュア・ギタリストのバック(リズム・ギター)を務めたことがあります。リハが終わって、「音がでかすぎて、自分で自分のギターが聴こえないから、もっと静かに弾いて欲しい」と、僕よりも分厚いピックを使うアマチュアさんが言いました。これは、文化の違い・音楽性の違いを感じた一瞬で、何十年も大きい音で弾くことを研鑽してきた僕としては非常に心外でした。彼は、相変わらず音が小さいままなのでしょうか…。
ピックの話
モンロー・スタイルを意識する様になってからトライアングルのシェイプのピックに変えました。ピックの重心を人差し指の第一関節の辺りに持ってきて軽く拳を握って手…