Category :: Django Reinhardt

GITANEUpdate : 2005/09/11 Sun 20:31

先日のトピックでお伝えした、激安のセルマー・マカフェリを、セカンド・ギターに買おうか買うまいか迷っていたのですが、識者にアドバイスをもらったり、スペックをいろいろ検討しているうちに欲が出てきて、違うブランドのギター(右画像)を買ってしまいました。(ブリッジのヒゲが付いていないのは、特別に別部品として添付してもらったためです。)

SAGA Musical Instruments社が出しているGITANE DG-255というギターがそれです。サウンドホールの中にあるラベルには3594というシリアルが見えますので、DG-500やDG-255Mなどを含めたこのシリーズの3594本目に製作された楽器なのでしょう。DG-255は、友人が所有するものや楽器店の店頭のものなど、何本か試奏したことがありますので、サウンドはアジア製とは思えないクオリティがあることを知っていました。初期に出荷された製品は、表板にかなりわざとらしい色がつけられていましたが、今回買ったものは、わざとらしさが若干薄れています。また、ローゼットの寄せ木の色も初期のものは赤っぽかったのですが、今回のは黒くなっていて好印象です。

しかしながら、買ったままの楽器をそのまま使うのは僕のポリシーに反しますので、この楽器をさらに良いものにするために、いろいろ手を入れて行くことになります。まず手始めに、ブリッジです。GITANEの他の型番でも共通していますが、セルマー・マカフェリ・タイプのギターを知れば知るほど、装着しているブリッジの形が不細工で許せません。また、たぶんブリッジが原因と思われる、音の鈍さもあります。そこで、早速このブリッジを細工することにしました。右の画像がそれですが、上が元々の形で、下が改良したものです。

今回は理由があって急いでますので、元から付いているものを削って作業しました。全体に2ミリ低くして、無駄な贅肉も削り取りました。左右のヒゲ部分もそれに合わせて整形しています。削ってみて分かったのですが、カタログスペックではエボニー製となっているブリッジは、縞黒檀を黒く塗ったものでした。また、かなり柔らかい材料ですので、近いうちにもっと良い材料で作り直します。過去に何個も作った経験から言うと、このタイプのギターブリッジは、硬くて軽い材料で、先端の形状を鋭くした方が、明るく大きい音がします。それから、正面から見た画像を見ていただくと分かるのですが、ブリッジは真っすぐスラントしているのではなく、2弦の所だけ後ろに下げて、ハイポジションのピッチを合いやすくしました。とりあえず、オイルフィニッシュにして光沢を出しています。

同じ理由で、GITANEブランドで使われているテイルピースのプラスチックプレートも、サウンド上よろしくありません。今回は時間の都合で作業していませんが、この部分も縞黒檀で作り直す予定です。

GITANEシリーズに最初から張ってある弦は、ブロンズのもの(エキストラ・ライト?)なので、想定する音楽と少し馴染ません。これも速攻で、いつも使っている弦(右画像)に張り替えました。この弦は良い音がして弾きやすいのですが、巻き線が弱いので、3弦と4弦がすぐに死にます。3弦と4弦が腐ったら、すぐにアーニーボールの同じ太さの弦に変えることで、けっこう長い間使えます。この手のギターを弾く場合、5弦と6弦は逆に腐ったくらいのサウンドの方が具合いいですからね。

ここまでの作業で、ステージでいつも使っているSAGA Django Jazz Guitar BM-500とは好対照なソリッドな音が出るようになりました。改造してあるSAGA BM-500は、明るくて中音域が持ち上がったファットなサウンドですが、今回作業したDG-255は、エッジの効いたテンションのあるサウンドになりました。音圧的には両者同じくらいですので、曲によって弾き分けるのも面白いでしょう。

それから、GITANEの全てがそうかどうか分かりませんが、この楽器は、初期状態のフレットの仕上げがあまり良くないです。ヘアライン(やすり目)が残っていて、ビブラートをかけると、滑りにくいばかりではなく、厄介なガリガリというノイズが出ます。金属磨きで研磨しておく必要があります。まあ、付いているフレットも好みの形状ではないため、ストックしているお気に入りのフレットに打ち換えるつもりですが…。
また、他の国産アコースティックギター全般に言えますが、塗装がポリウレタンでは、材料の木材がかわいそうです。GITANEで言うなら、サイドとバックは合板なので、そんなに問題は無いと思うのですが、せっかくのスプルース単板の表板を鳴らなくしています。表板だけでも薄いラッカー塗装に変更すれば、手工品ギターのように、もっとウッディなサウンドになります。

今回のとりあえずの改良作業を急いだのは、実は、明日12日月曜日にYellow Django Revivalライブがあるからなんです。このライブで、この新しいギターを弾こうと考えています。明日のライブが終わったら、改良の続きの作業に着手したいと思います。来月くらいには、完全に生まれ変わったGITANE DG-255の音を東京のどこかで聴けるようになっていると思います。アレゲな皆さん、お楽しみに!

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