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同行者一家はもう疲れてサモアには行かないということなので、この日は一人でサモアに向かった。Melunのモーテル裏にバス停があるので、Melun駅までバスで行くことにした。どうやって乗ればよいのか分からなかったが、乗ってすぐ運転手に現金を渡したらお釣りとレシートをくれたの安心して席についた。Melun駅からは先日のサモロー方面とは違う路線に乗ってフォンテンブロー・アボン駅に向かった。
アボン駅はフォンテンブローの中心地からはかなり離れているが、観光地らしく駅舎も立派で、サモアの会場行きのシャトルバスが駅前から20分おきくらいに出ている。バス停が分からずに駅の切符売り場のおばさんにプログラムを見せてブス!と言ったらバス停の方を指さしてくれた。日本なら、かなり失礼な発言だったことは言うまでもない。シャトルバスの乗り場は立派な駅舎がある方ではなく、反対側だったので地下道をくぐって辿り着いた。
前日はフォンテンブローからタクシーでサモアに移動して、1958年ジャン・コクトー作品映画「Django Reinhart」の冒頭で観れるサモアへのドライブを思い出したが、この日乗ったシャトルバスは全く違った道を通った。セーヌ川沿いに美しい景色を楽しませてくれるかのごとく優雅に道を進んで、フェスのゲートの前で降ろしてくれた。前日のタクシーよりも明らかに短時間で到着したということは、タクシードライバーがけっこうインチキしているということかもしれない。
フェスは土曜日ということで昼過ぎには開場していた。東京のライブバーのマスターや女子ベース弾きとお会いできた。マスターは毎年今年で辞めと思いながら今年も来てしまったと言った。毎年来ているお陰で、レンタカーを駆って自在に裏道を走れるらしい。しばらく歓談して、このフェスで初めてステージを観た。
イタリア人のカルテットらしいが、(出演するぐらいだから当然ながら)かなり上手い演奏をしていた。ただ、8ビートや16ビートの曲が多く、なにもジプシージャズのフォーマットでやらなくても良いのではないか、と思った。(余談ながら、僕は、決してボサノバのリズムではない8ビートのジプシー・ボサと呼ばれる類の曲が嫌いだ。同じリズムならベンチャーズの方がかっこいいと思う。)
ステージに退屈したので、また広場を散策することにした。
上の写真のおじさんは、よくDVDでみかける物知りおじさんだ。名前は失念したが、ジプシージャズやジャンゴのことをどこでも語り尽くす大先生のようだ。リズム・ギターだけだが、けっこうまともに弾いていたのはお見事!
僕も時流に乗って(実は仕事がらみで。。。)、Facebookを利用している。せっかくなので、けっこう多くのジプシーギタリストとフレンドになっている。上のデニス・チャンはFacebook上でアクティブに情報を流している中国系カナダ人で、ジプシージャズの教則ビデオやリーダーアルバムをいくつか出している。近寄っていくと、「My friend!」と声を掛けてくれたので、一応記念写真。
週末なので、(変な物言いだが、)普通のお客さんがたくさんフェスにやってくる。いいジャムも間近で聴けないくらい人垣が何重も取り巻き、単独行動している自分は居場所も確保できないくらいの人出、例えれば有名神社の初詣状態になって、フェス会場に居るのがうんざりしてきたので、20時頃に帰ることにした。Melunでバスの時刻表を見てきたので、今帰れば最終バスに間に合う。Melunには流しのタクシーが走っていないからという理由だ。
上の写真は22時のMelun駅前のバス停から写した。全ての店舗が閉店しているがとても明るい。こんな明るいのに最終バスというのは、深夜バスまで運行している日本の産業戦士にとっては納得できないだろう。納得しなければならず、最終バスは22時7分ということだったが、凄い失敗をしてしまった。この日は土曜日で、最終はその1時間前だったのだ。
とほほ。。。