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先日お知らせしたオーディオパーク・レーベルのSP盤復刻アルバム4枚が発売になっています。
現物を頂いて愛聴しておりますが、4枚とも素晴らしい音再現になっていまして、これはぜひ皆さんにも聴いていただきたいと思いました。これまでのマスタリングとは全然違う体験ができます。
それでですね、ジャンゴ生誕100年を記念した「Swing Session In Paris」はこれまでとは違う切り口で選曲されていて面白いです。音源提供と解説の瀬谷さんの趣味によるところが大変大きいと思いますが、ジャズマンとしてのジャンゴを改めて評価できる内容となっています。単なるジャズ・マヌーシュのスターではなく(ジャンゴ存命中にはジャズ・マヌーシュという言葉さえ有りませんでしたが、、、)、ジャズの歴史上に輝くワン・アンド・オンリーなギタリストとして、ジャンゴ・ラインハルトを捉えることができます。
ライナーを書かせていただいて、紙面の都合でいくつか書けなかった部分がありました。瀬谷さんが1946年のロンドン録音について、「パリ録音とまったく変わらない」と書いている部分があるのですが、実はこの時の録音が現在のジャズ・マヌーシュ(あるいはジプシー・スイング)の雛形になっているのではないかと考えています。
30年代のホットクラブ五重奏団と同じフォーマットで録音されていますが、まずバンド全体のリズムがまったく違います。そして、ジャンゴは30年代のアルペジオ多用型からスケールぽいフレージングに移行しています。
上の写真はその録音セッション時のものです。なんと、ベースが黒人プレイヤーで英国人のリズムギタリストがカーブドトップギターを使っています。写真を見ただけで、戦前に身内のジプシーやフランス人音楽家と組んだ五重奏団とはリズムが違うことが分かると思います。実際、現在のマヌーシュバンドは此頃のタイトなリズムを標榜してコピーしているのではないかと感じています。戦前の五重奏団のリズムはもっとワイルドでルーズでした。件のCDでも両時代の演奏を聴き比べできますので、楽しめると思います。
カーブドトップギターで思い出しましたが、晩年のジャンゴは電気ギターを使うことが多く、いろいろなメーカーのカーブドトップギターにピックアップを付けて使っています。その中でも大変珍しい写真だと思いますが、ギブソンのトップ・オブ・ザ・ラインであるL-5を弾いている写真を載せておきます。撮影は1947年とのことですので、1940年代のL-5 17インチモデルですね。