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毎年この時期は、4月からの新年度に向けて、企業や学校などが製作の最終的な追い込みをするわけで、その片棒を担ぐのを生業のひとつとしている僕も、必然的に忙しくなります。まして、同時に確定申告などがありますので、BLOGの記事をまとめている時間的余裕が無くなっています。
年が明けて、今年はBLOGをもっと書こうなどと、その決心などを前の記事に書いたわけで、不熱心な読者諸兄姉には申し訳なく思いますが、前述のような状況で更新が滞っておりました。というわけで、約1ヶ月ぶりに書きます。
年末にいくつかネットから購入した購入したCDアルバムは、ほとんどがアコースティック・スイング系の演奏で、ジャンゴやジプシージャズの香りがします。この中で、本格的なジプシージャズをバックに女性ボーカルを聴ける珍しいアルバムがあります。
Connie Evingsonの「Gypsy In My Soul」がそれです。シャンソン・スタイルでの唄伴は除くとして、本家・ジャンゴのホットクラブ五重奏団では、1939年8月25日に録音されたUndicidedとDon’t Worry About Meの2曲だけが同じ趣向の演奏でした。ジャンゴ死後の戦後のジプシージャズでは、いくつかのアルバムで余興として唄が添えられてきましたが、まともに唄伴をやっている音源は非常に珍しいのです。そういうわけで、「Gypsy In My Soul」のリリースは快挙だと思います。
僕はConnie Evingsonというボーカリストに詳しくないので多くを語れないのですが、彼女はジャズシンガーとして何枚もアルバムを出している人で、この「Gypsy In My Soul」でも堂々としたジャズボーカルを聴かせてくれます。彼女のボーカルは、ビリー・ホリデイを規範としたよくあるタイプではなく、非常に白人ぽく透明感があり、ブルース色の薄いものです。悪く言えばジャズっぽく無い唄なのですが、そこがブルース色の少ないジプシージャズ・スタイルの伴奏とうまくマッチしている理由なのだと、僕は考えます。これが、ゴスペル系やブルース系のボーカルだったら、こうはいかなかったでしょう。
このアルバムで伴奏をするのは北米のミュージシャンで、ジプシーは一人も居ないと思います。ですから、ジプシー色も弱く、どちらかと言えば、バイオリンやアコーディオンが入っているにも係わらず、ジョー・パスのような感じのギター・サウンドに聴こえます。その点で、これをジプシージャズだと言い切ることは間違いかもしれませんが、選曲もジャンゴの作品を多数取り上げるなど、アルバム・タイトルが示すように、ジプシージャズへのリスペクトを感じます。今までに、こういったコンセプトのアルバムが無かったことが不思議ですが、ヨーロッパのジプシーが演奏する最近の「本物」のジプシージャズをバックにした場合、どこかフラメンコのようなエスニックな香りがきつくなり、ここまで洗練されたお洒落なアルバムが作れなかったのだと思います。
ネット通販や大都市の大手輸入CDショップなどで購入できるようですから、土臭いジプシージャズにゲップが出ている人は、胃薬の代わりに聴いてみてはいかがでしょうか。