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僕は、いくつかギターを持っていますが、ジプシー・ジャズ風の演奏をする時は、SAGAの「Django Jazz Guitar BM-500」を使います。僕は、SAGAのセルマー・マカフェリ・国産レプリカをサガフェリと呼んでいます。皆さんのSAGAも、これからはサガフェリと呼んであげてください。
オリジナルのサガフェリは、当時倒産したばかりの春日楽器の工房で作っていたと聞いています。(春日楽器のギターやバンジョーは国産としては非常に良くできた楽器で、倒産が残念がられていました。ライバルの東海楽器も数年後倒産しました。)サガフェリは、さすが春日で作ったギターだけあって、当時としては画期的なセルマーのレプリカで、とても高級感があるように感じたのですが、デュポンなど外国製のしっかりしたレプリカを知れば知るほど、サガフェリの中途半端さに落胆したのは、僕だけではないでしょう。そして、弾き比べると、そのサウンドもしょぼいことが分かりました。デザインはともかくとして、音が悪い原因は、マスプロの国産ギター全てがそうであるように、ポリウレタン塗装というのが良くないわけです。しかも悪いことに、メーカーは何を考えていたのか、表板のブレーシング(力木)にローズウッドを使うという愚かな設計をしました。(本来は表板と同じ材料を使うものです。)これでは、ちゃんと鳴るわけはありません。というわけで、今や、サガフェリはパチモンの称号を与えられています。とほほ。
上述のパチモン的問題点を克服するべく、僕のサガフェリは、面白い改造をしてあるので、以下に紹介します。
僕はサガフェリを1980年代初期に入手しました。(たぶん最初のロットだと思います。)永らく使っているうち、2000年に表板が割れているのを発見し、これを機会に、さる親切なリペアショップのお兄さんに頼んで、表板を取り替えてもらいました。張り直した表板の材質はシダー単板で、ラッカー塗装(ツヤ有り)ですから、明るく大きな音が出るようになりました。(スプルウースはドライな音、シダーは明るい音というのが僕の印象です。)この修理で、デュポンと弾き比べても遜色のないサウンドになりました。
表板交換の結果、表側のバインディングはオリジナルの木製ではなく、ベッ甲風のセルに変更となってしまいました。サウンドホールの回りの黒いローゼット(ウォルナット製)はSAGA製の証しです。これは、元の表板から移植してもらいました。(おやおや?サウンドホールの中に見えるこのラベルは一体なんなんでしょう!?)
この修理が上がった日に、この楽器の撮影がありました。2002年9月28日えい出版刊の「丸ごと一冊セルマー/マカフェリ」47ページに掲載されているのがその写真です。
で、塗装も見栄えが良く、なによりも音が良くなったことに気を良くして、以下のような禁断のサガフェリ補完計画を実行してしまいました。
元々のサガフェリのブリッジが楽器の雰囲気を壊していることは、サガフェリのオーナーならずとも識者なら良くご存じでしょう。今回、表板を張り替えたついでに、フランソワ・シャルル氏の本に掲載されている図面を元に、ブリッジも改造してみました。真ん中の本体の左右幅を両端とも5ミリほど狭くして、ヒゲの部分は新しく作りました。ステインを染み込ませて磨き上げ、オイルフィニッシュにしてあります。どうです?ヒゲの先の細いところも美しく仕上がっているでしょ?材料は縞黒檀です。
テイルピースは、大昔に手に入れたイバニーズ製の物を24金メッキして着けています。装着部のボディ側には、セル・バインディングでは変形してしまうため、補強でエボニーが埋め込んであります。テイルピースにくっついている木製のブロックは、ローズウッドの付き板(厚さ3ミリ)から削りだして自作しました。エボニーぽく、オイルステインで濃い目の色を染みこませてあります。
僕の楽器は全て、フレットを太くて背の高い物に交換しています。ビブラートを効かせ易いからです。この改造サガフェリは、弦高が思い切り低い(12フレットで2.5ミリくらい)ので、うまく弾かないとビビリ音が目立ちますが、ジプシーはそんなことは気にしませんよね。
サガフェリは指板の終端にかなりの空き地があって、これがすごく間抜けですから、ここにフレットをひとつ追加してみました。本物のセルマーは21フレット仕様ですが、このサガフェリの指板は22フレットになりました。これは、キーがDの曲を弾くときなど、重宝します。
3、14フレットのポジションマークを外して埋め、5、7、9フレットのインレイを少し大きな物、17フレットを小さな物に変更しました。セルマーは9フレットではなく、10フレットにマークが入っているのですが、僕は9フレットの方が弾きやすいので問題ありません。
サガフェリのペグヘッドは、アジャスタブル・ロッドを調整するための穴とそのカバーがイマイチですから、ここは潔くネックの調整機能は諦めて、その穴を埋めてしまいました。また、先細り型ペグヘッドは、セルマーに較べてテーパーが緩いので、天辺あたりがズングリして見えますが、テーパーの変更は難しいので諦めました。セルマーに較べてずいぶん短いペグスロットは、5ミリほど天辺側に拡げました。ついでにセルマーのようにナットからの傾斜も付けてみました。
弦を張ると、3、4弦がペグヘッドに触れるのが、サガフェリの欠点ですが、これは、ペグスロットのザグリが中途半端なためです。そこで、セルマーを参考にザグリを大きく取って、整形しました。
ステインで濃い目の色づけをした後でラッカーをかけました。ちょっと男前になったでしょうか。
お茶目な金刻印についてはノーコメントです。しかし、ここまでやって良いモノでしょうか。どうせなら、ここはDRチューンが欲しいところです。
これが全体像です。ローゼットを無視すれば、どこのギターだか分かりません。どぉ?カッコイイでしょ?(やっぱりパチモンか/汗)今後、側板、裏板、ネックをラッカーで塗装をやり直す予定です。
使用弦は、011〜046で揃えたエレキ用バラ弦です。ジプシー・ギターでは標準のコンパウンド弦は、コストパフォーマンスが悪いし、鳴りそのものがあまり好きではありません。
ピックはWagenの厚さ5ミリ白を使っています。3ミリの奴もありますが、ちょっと頼りないです。