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Hawaiian Aloha Shirts from Our Collection
上のリンク先は、自前のシャツを集めた、もう10年以上前のコンテンツなので色褪せていますが、アロハシャツ自体は70年くらい前から流行したものなので内容自体は普遍だと思います。(最近はシャツを買うことも少なくなりましたが、合計200枚は超えました。)
「70年くらい前」と書いたのは、その頃にアロハシャツのメーカーが出揃い、仕様やデザインが完成したからであって、ルーツまで遡るとハワイの日系移民と同じくらいの歴史はあるものと考えられます。(和服をほどいてシャツを縫った云々)
というわけで、狭義のアロハシャツといえば1940〜50年代のハワイ製・米国西海岸製の限られたデザインのシャツを指します。柄は当時のハワイのデザイナーのデザインが主であり、生地は当時最先端の人絹(レーヨン)を使い、抜染やシルクスクリーンという染色方法が、一般の開襟シャツとは異なります。一部の人には人気ですが、昔サーファーファッションで流行ったコットン裏生地やプルオーバー、ボタンダウンなどのシャツは、残念ながら狭義のアロハシャツには含まれません。
柄のレイアウトは主に3種類あります。
一番よく見かける、全体にモチーフがランダム配置されているのが「オーバーオール」で、反物から生地取りする時に自由に裁断できるので製作コストが有利です。
次によく見かけますが、縦に直線的にモチーフが配置されているのは「ボーダー」で、生地取りの方向が限定されますので、裁断時に捨てる部分が多くなります。
そして、絵画のような裾模様、あるいは裾模様とボーダーの組み合わせというようなアロハでしか見かけないデザインもあります。これは「ホリゾンタル」で、生地取りの方向がボーダーと90度異なり、最も歩留まりが悪いデザインですので、製品はおおむね高価です。
他にも前面に柄が無く背面に大きく柄の入った「バックパネル」のようなものもあり、こうなると製作コスト云々ではないファッション性があります。
柄のモチーフはおおむねハワイの自然がデザインされています。あるいはハワイの歴史や、外洋航路船のレストランの壁やメニューに描かれた絵などを使っています。俗に和柄と呼ばれる日本趣味なデザインは、日本に進駐していた兵隊がハワイ経由で帰国する時によくお土産にしたようです。
アロハは派手とされますが、それは発色の良さがその一因でもあると思います。ヴィンテージアロハのほとんどは抜染という方法で染色されています。色の数だけ版型が必要ですが、仕上がりは発色が素晴らしくエッジも利いています。1940〜50年代当時、この難しい技術で外資を稼いでいたのが、北陸あたりの元は着物の染色をやっていた日本の工場でした。大正時代に流行った銘仙の技術がそのまま活かされました。現在復刻モノを手がけるメーカーはそういうところの生き残りに生地を発注しているようです。
写真ぽい柄のようなものはシルクスクリーン(一種の謄写版)法で絵付けされました。これは米国でもできました。
アロハシャツの柄について、識者はかなりうるさいです。それが新作デザインであっても伝統を踏襲していなければなりません。もし、柄やデザインについて知識を得たい場合は、大昔から出版されている書籍が参考になります。どういう柄を買って良いか分からない場合は、この本に掲載されているシャツのデザインそのものか類似のものであれば安心です。
H. Thomas Steele
今でも本式のレーヨン抜染でヴィンテージアロハのレプリカを販売するメーカーが数社あります。着古せばヴィンテージと区別がつかないような出来上がりになっていて、価格は1万円以上で高いですが、シャツは素晴らしいとしか言いようがありません。
それに比べて、(主に今は中国や東南アジア製ですが、)工業用大型インクジェットプリンタでアロハ風の柄をプリントした生地を使ったものが売られています。価格も数千円以下と安く、季節になると量販店でよく売られています。
「アロハ、お好きなんでしょ?」と、ハワイ土産だというシャツを頂いたことが何度もあります。そのうち1枚だけはよくできたヴィンテージ・レプリカでしたが、他のはポリエステル生地にハイビスカスが印刷されただけの温泉ランドの湯上がり着みたいなものでした。捨てるに捨てられず、まだどこかにあります。
ヴィンテージ・レプリカが高すぎて買えないのも実情なので、インクジェットプリントであってもレーヨンでヴィンテージ柄であれば、25歩ほど譲って、それもアロハシャツだと僕は思うようにしています。しかしながら、ヴィンテージ柄でもなく、コットンやポリエステル、あるいは混紡を使っているのもあり、(他人様の着衣に文句を言うのは野暮ですが、)アロハだと信じこんで着てる人が多いのは大変残念です。
このように書くとアロハは生地が全てみたいに思いますが、実は違います。ヴィンテージレプリカのレーヨン抜染でシャツにする前の生地を何着分か持っていまして、以前、シャツを縫ってくれるという工場に生地持ち込みでオーダーしたことがあります。アロハシャツの縫製には自信があるとのことでしたが、出来上がってきたものはお世辞にもアロハとは言いにくい開襟シャツでした。詳しくは書きませんが、アロハにはアロハの裁断とフォルムがあるわけで、それを無視するとアロハシャツにはならないということです。さらには、縫い糸やボタンにまで言及するとかなり厳しいことになります。
あるいは、故事に基づき、和服をほどいてアロハシャツに仕立て直したものが一品物として高く売られていることがあります。柄は素敵なのですが、そもそも元々アロハの縫製を知らない感じのシャツであることが多いです。派手な柄は女物の生地を使うことが多いと思いますが、そうすると背中の部分は2枚繋がないと幅が足りません。着心地の悪いシャツになっています。サイズSならなんとかなるのでしょうか。人絹の銘仙で、アロハの縫製を知っている人が作ったら素晴らしい物になるとは思います。
どうですか?あなたの着ているシャツはアロハシャツでした?