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コスプレという日本発の文化があります。プロのコスプレイヤーが居るのかどうかわかりませんが、二次元絵画からの三次元二次創作はアートとしても認知されています。僕はコスプレ文化は好きではないのですが、現代に生きる身としては認めざるを得ない一つの芸術かも知れません。
さて、僕の旨とする音楽に話を変えましょう。ルーツミュージックだけではなく、ポップミュージックにもフォロワーが居て、それらはコスプレに似た二次創作のように思えます。コスチュームでは無いのでプレイングプレイ、プレプレとでも呼びましょうか、アマチュア・ミュージシャンだけではなく音楽を生業とするプロミュージシャンでもコスプレのような演奏をすることが多々あります。二次創作を含めてアートと呼ぶならば、これも素晴らしいと思います。ただ、音楽の世界にはコピーと呼ばれる表現があります。いわゆるコスプレが二次元から三次元への発展であったのとは違って、音楽の場合は、演奏から演奏ですから、コピーというのは全くアートでは無いと考えざるを得ません。
音楽におけるコスプレとは、演奏のコピーではなく、演奏ポリシーを借りた二次創作だと僕は考えます。もし〇〇が■□という曲を演奏したら、という創作です。僕は40年もこの課題に取り組んできました。そして今、僕なんかが演奏するルーツミュージックは日本で始まったものではなく、完全に異文化なわけです。ですから、最近の僕は、異邦人である日本人が外国のルーツ・ミュージックを演奏したらという二次創作コンセプトで演奏し、その末席に居たいと考え活動しています。コピーではありません。
というわけで、1930年代フランスののDjango Reinhardtの演奏コンセプトを21世紀の日本人が借りたらこうなるという見立ての演奏をアルバムにしたのがYellow Django Revivalの新譜です。「Djapsy」にはそういう意味が込められています。
僕は15歳になるちょっと前に5弦バンジョーを弾き始め、1978年に大学入学してブルーグラス音楽の同好会に入部しました。クラブの同級生に借りたDjangoのフランス・ホットクラブ五重奏団のアルバム「Djangology」に大変感銘を受け、こういう音楽を演りたいと思いました。しかしながら、ブルーグラスのクラブではそれは叶わず、自宅だけの楽しみとしてDjangoのギターをコピーしてました。1980年に大学をドロップ・アウトしてデキシージャズで4弦バンジョーを弾く仕事を始めて何年かした頃、演奏の現場によってはギターは弾けないのか?みたいなことを言われたので、予てよりギターをコッソリと練習していたことも有り、国産初のSAGAブランドのマカフェリギターを現場に持ち込んでリズムギターを弾き出しました。Djangoのジャズとは違う普通のトラッドジャズでしたが、ギター奏者としての経歴がその頃始まりました。
ジャズの演奏を続けながら、いつかDjangoのホットクラブ五重奏団のようなバンドを組みたいとずっと思っていましたが、それが叶うのは2002年でした。Yellow Django Revivalなどというドヤった名前でのリーダーバンドのデビューでした。20年経って、とうとうオリジナルメンバーは僕だけになってしまいましたが、リズムギターの及川さん、小篠さんは18年以上、ベースの加藤くんは既に6年以上一緒に演奏してくれています。フロント楽器はバイオリンからクラリネットへ何人もの人がメンバーで加わってくれましたが、昨年からは日本に30年近く住んでいるアメリカ人のクリスさんがバイオリンで加わり、その最新メンバーで最新アルバム「。「Djapsy Djazz」を録音しました。実は、セットリストを一緒に決めたのにも関わらず、自分の録音一日前にクラリネット奏者が退団とするという空前絶後言語道断なトラブルがありました。すでにリズムトラックとギターソロが録音済みであったため、急遽クリスさんを迎えて録音に参加して貰ったのでした。クラリネット向きのセットリストですから知ってる曲も少ない中、前向きに考えて参加してくれたクリスさんに大感謝です。おかげで、この文章の最初に書いたように、コスプレならぬ、プレプレな音を気持ちよく作れました。
というわけで、国内現役最古のジプシージャズバンドYellow Django Revivalの最新作を多くの方に聴いていただきたいと思います。お求めは次のURLからどうぞ!
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