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この日でパリとお別れ。シャルル・ド・ゴール空港へは、オペラという駅からバスに乗ると良いと聞いていたので、チェックインの時間から逆算して、通勤ラッシュのメトロに乗り込む。パリも4日目になると、メトロは自在に乗りこなせたが、多人種満員のメトロ車両に旅行用のキャリアを持って乗り込むのは多少勇気がいった。
空港行きバス停は、有名なオペラ座の真向かいにあった。すでにバス待ちの人がたくさんいたが、時間までまだあるようなので、ちょっと散策。オペラ座は工事中で、その美しい姿は半分しか見れなかった。
空港バスは二輌連結で日本では見たことのない車両だったが、窓が広く、高速に乗るまでの間、今回最後となるパリの町並みを目に焼き付けるのには丁度良かった。空港でチェックイン〜出国審査の後、出発ターミナルのカフェテリアにて朝食昼食兼用の簡単な食事を摂る。フランスのピザは、イタリア料理専門店でもキッシュのように分厚いようだ。味は悪くないが、ピザを食べている気持ちにはなれない。
いざ出発ゲートに向かうと、フライトが3時間押しているみたいである。聞けば、空港のシステムがダウンしたということであったが、関空行きの飛行機が遅れる事情説明では、空港で飛行機を牽引する会社がストライキをしているということであった。果たしてどちらが本当か分からないが、ターミナルで3時間も4時間も時間を潰すのは大変だった。その間に買い物をさせるという仏国経済政策の一環であったかもしれない。
経済政策に従うべく免税店を散策した。ぜひ買おうと思っていた免税タバコだが、パリの空港の免税店では日本国内のタバコ屋と値段が同じかそれ以上の値段だったので悲しかった。成田では半額近かったので、出発前にもっと買っておけばよかった。旅行者の義務を全うすべく、カフェオレ用のどでかいカップを2つ買って3時間遅れで飛行機に乗り込んだ。
隣の座席にはフランス人女性が座った。(ヨーロッパ人が警戒する原発事故の)この時期に一人で日本に行くとは尋常ではないと思い、インチキなエーゴで話しかけると、横浜に3日間オペラ曲を唄いに行くソプラノ歌手のマリンヌ・デラカサグランデさんとのことだった(あとでググッて分かったが日仏会館に招かれたようだ)。お互いジャンルは違えど同じ音楽人ということで12時間のフライトの内8時間くらいインチキエーゴでしゃべりまくった。フランスに向かう時のフライトの長さに比べると、しゃべり続けた帰路はあっという間の旅だった。
パリも暑かったが、それ以上に暑い東京に無事帰ってこれた。そして、これを書いている。いろいろあったが、洋行に誘ってくださったご一家に大変感謝する次第だ。これまで避けてきた異文化に触れられたことを自らの創造の糧とし、初めての国外滞在の経験を今後に活かしたいと思う。