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米国テキサス州出身の女性グループ「ディキシー・チックス」が先日のグラミー賞授賞式で、最優秀アルバム賞を含む5部門を受賞しました。日本ではそんなにメインストリームなグループとは思われていないこのバンドが、アメリカのジャーナリズムに高く評価されたことは、ブルーグラス音楽を演奏する者としてはまことに嬉しいことでもあり、同じグラミーで数年前起こった「O Brother」の快挙が、日本でほとんど無視されたことに対してのリベンジになってくれれば良いと思います。
南部のいかした女達(CHICKは良い意味で美人のこと)をネタにちょっと書いてみましょう。
「ディクシー・チックスは1989年に結成。伝統的なカントリーにロック調のリズムを織り交ぜたスタイルで人気を集めている。」などと、お馬鹿な日本のメディアが説明しています。それは間違いでは無いにしても、実は、テルライド・BGフェスティバルで最優秀バンドを獲得したり、ナショナル・フィドル・チャンピオンシップを獲るなど、ブルーグラス・ミュージックを演奏するバンドとして結成されたのでした。バンジョーやフィドルといったブルーグラス楽器の演奏技術の高さは、女性だと侮れないほど高いものであることは、DVDを観れば誰でも分かります。
彼女達が日本のメディアに飛び出したのは、先のイラク戦争の折に、自国の大統領を批判し、米国のメディアから干されたことが新聞等で報じられた時からでしょう。日本ではイラクでの戦争に対して賛否が分かれていましたので、彼女達の行動へのいくらかの賛辞があったと記憶していますが、世間ではそんなに話題にはならなかったのではないでしょうか。もっとも、彼女達の音楽に対しての言及は無に等しかったと言えます。
僕は、アメリカさんのやり方に賛成しない方の立場を取っていますが、音楽と政治的メッセージは切り離して考えます。昔から、英語が不得意なので、洋楽はそのサウンドやリズムだけを好み、歌の部分は単に声という楽器として捉えています。つまり、ビング・クロスビーでもボブ・ディランでもBBキングでも歌のメッセージは僕にとってはどうでも良く、歌詞の内容という次元での評価は僕にはできません。
1990年代、アメリカは好景気をバックボーンに排他的・保守的な考えが広まりました。簡単に言うと右傾化です。現在のブッシュの恐怖政治の下地ができて行きます。音楽業界でもこの傾向は明らかで、過去に例がないほど多くのカントリーのヒット曲がカントリー・チャートを飛び出してポップチャート上位に上がりました。このことは、もともと保守的な南部のカントリー・ファンだけではなく、カントリー・ファン以外にも保守的なカントリーが受け容れられたことに他なりません。つまり、南部以外でも保守的な強いアメリカを支持する音楽購買層が大きくなったとことです。しかしながら、その自信満々で余裕満点の強いアメリカは例の9.11から、何かにつけて焦るようになります。南部カントリー・ファンはすでに極右翼と呼んで良いほどの大きな体制派になっていました。そのさなか、Dixie Chicksは大統領批判に始まる体制批判をステージの演奏にも持ち込みながら、保守的なアメリカのカントリー・ファンを眼中に入れず、しかも今日の成功へと繋げました。
かつてノンポリと言えども安保反対など反体制がステイタスだった日本の団塊世代のブルーグラス・ファンが、この女性ブルーグラス・バンドのそういったラジカルな部分を支持してファンになるケースも見られますが、それは僕はおかしくてたまりません。そういう体制批判的なメッセージ性が彼女達の位置を持ち上げたのではなく、歌唱や演奏、作歌など、それら全てのスキルの高さがビジュアル面と相乗効果を伴ってショービジネスの世界で認められたのだと思います。そう考えるだけの技量が彼女達に備わっているのは明らかですし、政治的なパフォーマンスへの評価を誇り高きブルーグラス・バンドに与えることに僕は賛成できません。
ディキシー・チックスの音楽を語る時、日本のメディアは「伝統的なカントリーにロック調のリズムを織り交ぜたスタイル」と説明するわけですが、それならば、1970年代初頭のカントリー・ロックと同じですね。実際、最初期のイーグルスやその母体になったフライング・ブリトーズ、古くは60年代末期のバーズのサウンドは、時代から来る技術的な差を差し引けば、ディキシー・チックスのそれと大して変わらないと思います。(1976年はアメリカ建国200周年ということで、当時もやはり保守回帰の風潮が見られた時代でした。)しかしながら、ディキシー・チックスがその先達と違うのは、モロにブルーグラスの楽器であるバンジョーやフィドルを大きくフィーチャーしたサウンドで勝負しているということです。ブルーグラス・ミュージックの世界では、New Grass Revivalという伝説的なスーパーグループがそういうサウンドで演奏していましたし、New Grass Revivalがホストしていたテルライド・フェスでディキシー・チックスが最優秀バンドに選ばれたというところからも、New Grass Revivalが青い草の種を蒔いた畑で、ディキシー・チックスという雌株が大きく育ったということだと僕は結論付けたいです。彼女達の2度目のグラミー受賞は、ブルーグラス・ミュージックに与えられた勲章ではないでしょうか。
ジャンゴのサイトを探していてここへ参りました。デキシーチックスはCD・DVD共に楽しんでおります。お尋ねしたいのは次のことです。
Django Reinhardt with Stephane Grappelli「Swingin’ with Django」という
3CD BOXがあるのですがライナーノツがなく録音年月日も演奏者の名前もわかりません。made in PORTUGAL 2001/GSS 5312とありますがご存知でしたら教えてください。当方のブログはhttp://granpa66.cocolog-nifty.com/blog/です。
コメントありがとうございます。
ジャンゴはSP時代のアーチストなので、現在出されているものは全てコンピレーションになりますが、死後50年の2003年には楽曲の著作権が消失し、それ以降ヨーロッパ各国で廉価なボックスセットがたくさん発売されています。お尋ねのセットもそのうちのひとつだと思いますし、レコーディング情報を知りたいマニア向けのものではないようです。
このサイトではジャンゴのディスコグラフィーを用意しております。
http://banjo.officeboya.jp/django/djangosdiscography.html
そちらで曲順等から推測されてはいかがでしょうか。