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「CATS」はスラングでバンドマンを指します。「COPY」は、ご想像の通り、複製という意味。総じて否定的な意味で、このCOPY CATSという言葉は、冴えないバンドやミュージシャンを指します。
例えば、「研究」だとか「追求」とかのお題目を唱えて、コピーに精を出しているアマチュアのミュージシャンなら、COPY CATSという、言わば蔑称に甘んじて、自己満足に浸れば良いですし、それで幸せだと思います。修行時代においては微笑ましくもあります。全ての芸術は模倣から始まると言われますから、第一歩として意義があることでしょう。
ところが、一旦、芸に目覚め、自分の演奏で自己主張する(或いは、しているつもり)のであれば、COPY CATSと呼ばれることは避けたいものです。しかし、実際には、特にマニアックな音楽の世界では、COPY CATSが厚顔無恥な演奏をしていることも多いです。
プロとかアマチュアとか関係無しに、音楽を表現するという意味では、COPY CATSで居ることは悲しいことだと思います。オリジナルの再現を目指すことは、演奏者の表現に於いて意味を成しません。演奏スタイルのイディオムをオリジナルから拝借したとしても、再現を目指すべきではありません。あくまでも自分の感性からほとばしる感情表現を音に載せるべきなのです。
再現音楽自体に意味があることもあるでしょう。例えば、古楽器を使った演奏や、オーディエンスが再現音楽を期待する場合などです。しかしながら、譜面に忠実に演奏するクラシックの分野においても、先人の名演奏を再現するというようなことは、全く持ってナンセンスだと考えられています。演奏者自身の最高の表現ができなければ、評価に値しません。
研究や追求といったものは個人的な興味として位置づけ、一旦、音楽の表現者として演奏するときには、それらを全面に出すべきではありません。そういったものは、修行時代に終わらせることです。音楽の演奏は表現であり、自己陶酔であり、さらにはオーディエンスをも巻き込んでの集団陶酔だと思います。せめて、自分は表現しているんだという態度を取るべきでしょう。
親愛なるCOPY CATSさん達へ。早く研究を終わらして楽しめるようになってくださいね。
【追記】
お前はCOPY CATSはやっていないのか?というようなことも囁かれているようですので、僕なりの見解を書いておきます。
The Gentlemenでバンジョーを弾かせてもらってますが、このバンドは全くのCOPY CATSです。ですから、なんら自らの音楽的表現は無いと思います。本来ならば、それは全く意味のない演奏活動なのですが、このバンドに限っては、オーディエンスの期待の上でCOPY CATSを演じていると言っても良いでしょう。
茶道の世界には「一座建立」という言葉があります。客を迎える亭主が亭主を演じきり、客は客を演じきり、座を持つ楽しみをこの言葉で表します。The Gentlemenのライブは正にこの一座建立なんです。オーディエンスもバンドも、それぞれの役割を理解し、成りきることで、その時間を楽しんでいるわけです。こういう、オーディエンスに期待されるCOPY CATSは幸せだと思います。
僕は他にもいくつかバンドをやっていますが、個人的にもバンド的にもThe Gentlemen以外にCOPY CATSはやっていません。全て自分を表現するために演奏してます。