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月に数回、ライブハウスで演奏をしますが、東京のライブハウスでは、お客からバンドチャージというのを飲食代と別に徴収して、その総額の内、何割かをバンドにギャラとして支払うことが多いようです。チャージバック制と言うのだそうで、東京でなくても、ライブハウスは全国的にどこでも、その方式でやっているようですね。
僕が初めてギャラを貰ってライブをしたのは、19歳の時だから今から26年前、たしか、今でも営業している神戸加納町のホンキートンクで、貰った額は1500円だったと記憶しています。そのすぐ後に、大阪梅田のチャーリーブラウンで3000円を貰いました。神戸ホンキートンクは10人も入ると満員の狭いお店ですから、ギャラが安いのは文句はありませんし、チャーリーブラウンの3000円というのは、当時の19歳男子が6時間アルバイトして貰う日当とほぼ同じですから、学生バンドにとっては、美味しい稼ぎだったと言えます。あと、定期的なライブで、梅田阪神裏テキサスでの3000円や東梅田シェーキーズの5000円というギャラもしっかりと覚えています。しかも、驚くなかれ、これらはチャージバックなどでは無く、演奏に対する報酬として支払われていました。チャーリーブラウンなどは、バンドの実力によって、上は5000円くらいまで設定されていました。その後、35歳になるまで、関西でライブやエイギョウの演奏を続けましたが、チャージバックのライブというのは経験しませんでした。
演奏報酬としてのギャラですから、貰うプレイヤーはプロとして演奏する心がけもできますし、日々練習を怠りなく、お客にウケる演奏を志しました。事実、それらのライブだけで食ってた猛者も居ましたから、お店に対して演奏のグレードを保証するという態度が当たり前だったと思います。これらは、ブルーグラスバンドでの経験ですが、ジャズバンドに加わってライブをするようになると、一晩最低10000円のギャラは貰えていました。
バンド用語でトラというのがありまして、バンドメンバーの誰かが来れない時のピンチヒッターのことですが、レパートリーを知らないまま呼ばれて演奏しに行き、ギャラをちゃんと頂くために、知らない曲も1コーラス聴いて弾けるようになることも必要でした。できなければ、次に呼んで貰えませんので、ギャラで暮らしを立てている場合は死活問題になります。
関西のブルーグラス人脈の演奏技術(というよりも曲を覚える技術)が格段に高い理由は、こういう、プレイヤーとしては恵まれた駆け出し時代を過ごしたからです。チャージバックでしかライブができなかった同年代の東京の仲間に較べると明らかでしょう。
それで、チャージバックですが、東京に出てきて5年くらい経った頃から、東京でブルーグラスバンドをいくつかやり出して、ライブをするようになって、初めて経験しました。たくさんお客が来れば、ギャラの額も上がるという、資本主義競争経済上では、至極当たり前のシステムですが、忘れてはいけないのは、お店は全く腹が痛まないことです。しかも、チャージは全額をバンドに渡すのではなく、お店がピンハネしているというところです。最近では、さらにお客の入りをパーセントで区切って、累進的にピンハネをするのも当たり前になっています。満席にしなければ以前と同額のギャラにはなりません。
チャージバックでライブをすると、毎回、バンドはお客を呼ばなければなりません。お客が払う料金は決して安くありませんので、付き合いで来てくれるお客には義理ができます。また、自分たちが呼んだお客相手に演奏するわけですから、内輪でウケれば良いだけの素人臭い演奏になってしまいます。つまり、ミュージシャンが育たないということになります。ミュージシャンを育てるためには、お店がお客を集めることが必要だと思います。そして、出演するバンドも、お店が集めたお客を楽しませる技量が必要でしょう。お店はバンドを取捨選択するべきです。
ライブ演奏はお店にとって、普通の飲食店に対するアドバンテージなのですから、飲食業の付加価値として、ライブ演奏を積極的にセールスしていただくのが本当だと思います。バンドの人脈や身内を集客のアテにして、彼らから水揚げを上げようなどと考えないで欲しいと思います。
今、僕は生活をささえるための演奏をほとんどやっていません。何十年も演奏してきたわけですから、若いときに必至に頑張ったことを、今は思い出して演奏することが楽しみです。ですから、ギャラのための演奏は全く考えていません。しかしながら、満席のライブハウスで気持ちよく演奏したいですし、お客にも楽しんでもらいたいと常に思っています。なんとか、チャージバック制を止めて固定ギャラで(あるいはノーギャラでも良いので)お店が責任持ってお客をたっぷりと集めて貰えないものかと、ずっと考えています。
チャージバックでない固定ギャラというのは、客の入りが少ないとプレッシャーきついですよね。
缶々廻しは気が楽でしたが、あまり気合が入りません。
僕の場合は、固定ギャラの店はライブというよりBGMでバンドを入れる店が多かったですね。
でもやってるほうはBGMなどとは思わずに真剣にやってました。
演奏後のメキシコ料理や焼肉のまかないも楽しみでしたケド。
今、息子がピアノの練習してますが、彼にも演奏して金を取れる場面がないかなと思ってしまい
ます。 きっと練習の身の入り方がちがうでしょうに。