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最近、少しショーロ音楽を聴くようになってます。南米方面は全くもって門外漢ですが、少しは薀蓄を語れるくらいにはいろいろ聴いています。見当違いや嘘も多いと思いますが、ご容赦を。
ショーロはChôroと書いて、ブラジルの音楽の一つのジャンルです。ブラジルでは既に滅んでしまったボサノバの誕生よりも、遥か100年くらい前からショーロの曲が作られています。主にロンド形式を持つショーロの楽曲は、ジャズの元になったラグタイムや、フランスのミュゼットと同じ構成です。本場のショーロのミュージシャンは、ジャズ以前に音楽ジャンルとして完成したということを誇りにしているようです。
ショーロ音楽の中興の祖は、Pixinguinhaというサキソフォン奏者で、1920年代から活躍し、たくさんの佳曲を作りましたが、管楽器による対位法的なアンサンブルを伝統的なリズムに乗せた演奏スタイルで、今日云うところのショーロの演奏スタイルを確立しました。
また、戦後にはバンドリン(ブラジル土着のマンドリン)奏者Jacob do Bandolimが弦楽器主導によるアンサンブルを確立し、この編成は現在でもそのままフォローされています。現代ショーロの父と呼んでもいいのかなと思います。
Jacob do Bandolimと同時期に、カバキーニョ(ポルトガル由来のウクレレに似た4弦の小さい楽器)奏者Waldir AzevedoがJocabがバンドリンで行ったのと同等の演奏をカバキーニョで行いました。Jacobに比べて扱いが低いですが、ショーロ音楽への功績は勝るとも劣りません
以上、適当な紹介ですが、以前ロマ(ジプシー)の歴史についていろいろ著作を読んでいる時、ルーマニアのジプシー解放以後ヨーロッパー中にジプシーが放浪し、行く先行く先で迫害され、ついには欧州大陸からも追放されたということを知りました。ドーバーを渡って英国に辿り着いたジプシーは流刑地だったジャマイカに送られ、イベリア半島の端っこポルトガルからはブラジルに追放されたとのこと。ポルトガルのファドがそうですが、ブラジルのショーロ音楽が何かちょっとジプシー音楽ぽい旋律に聴こえるのに親しみを覚え、特にバンドリン主体のショーロ音楽に惹かれていくようになりました。欧州でもジプシージャズのFapy Lafertinなどはもろにショーロの曲をそのままバンドのレパートリーにしていたりしますので、僕はジプシージャズと隔たりなく聴けます。
聴いているうちに弾きたくなるのはミュージシャの性ですが、ラグタイムと同じく合奏の時にアドリブで丁々発止が無い演奏スタイルはあまり好きではありません。今のところ、音楽的教養を高めるため程度にマンドリンでJacobのソロをなぞるようなことしかしていません。覚えた曲の譜面を書いたり、どこかで拾った譜面を浄書したりしてます。いつか肥やしになるでしょう。