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バンジョーの金属パーツは曇りやすい。(もしあなたのバンジョーが曇らない金属パーツでできているなら、申し訳ないけどそれは安物で音も悪い。)ちゃんとしたバンジョーは、ほっとくと緑青まで出てくるので、常に乾拭きしておく必要があるのだが、演奏中に汗などが付着して、乾拭きする前に化学反応を起こしている場合もあるから厄介だ。
というわけで、夏休み最後の日曜日、なんと20年ぶりに愛器の分解掃除を行うことにした。金属パーツの曇りを取るだけで、飛躍的に音の響きが良くなることは、一度でも分解掃除をしたことのある正統派バンジョー弾きならご存知のはずだ。20年ぶりのメンテナンスでどれだけ音が良くなるか楽しみだ。というか、音を良くする必要があって分解掃除するのだ。
金属磨きは乾布にメタルポリッシュという一種のコンパウンドをつけて行う。メタルポリッシュというと、国産のピカールが有名で、それを使っても良いのだが、筆者はグラノールというドイツ製のポリッシュを30年以上も愛用している。東急ハンズの彫金用具のところに必ず置いてあるので、金属磨きが好きな人は一度お試しいただきたい。(ニッケルや真鍮向けで、金や銀にはきつすぎてすぐに剥げる)
20年もほっておくと、もちろん随所に緑青が吹いているので、メタルポリッシュを掛ける前に、ハンドリュータのゴム砥石で緑青部分のみ削っておいた。
メタルポリッシュを付けたもの、磨面のメタルポリッシュを拭きとるもの、乾拭き用の3種類の乾布を用意した。見ての通り、真っ黒になるので、当然、手も真っ黒なので、作業中は何度も手を洗う。普通の石鹸では落ちにくい汚れなので、中性洗剤で洗った。
苦闘4時間、元通り組み直して新しい弦を張る。何度も邪魔をしに来た暴君ヴェラ(満一歳の雌猫)も納得の甘いバンジョーサウンドになった。
この楽器、丁度30年前に名古屋の飯田楽器で作ってもらった6弦仕様(通常の5弦バンジョーにさらにオクターブ下のGを追加)のネックを、20年くらい前にアメリカに行っていた有田純弘氏の紹介で、ボストンのNew Boston Companyという楽器屋から輸入したボディ(1993年1月4日製造のGibson Earl Scruggs Standard)に装着した世界で唯一のモデル。Earl Scruggs Standardは本来メイプル・ネック、メイプル・リゾネイターだが、この楽器はマホガニー・ネックとマホガニー・リゾネイターということで、サウンドのニュアンスがグラナダよりもRB-3やRB-75に近い。
余談だが、網戸の外には幹が3センチほどに育ったハカランダが数本見えている。ギターの材料になるくらい育つのはいつのことか。。。
近々、この楽器をステージで弾く機会があるようだ。腕の方も磨いておかねばならない。