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パリ単独行二日目の予定は全く無しなため、この日は典型的観光客に化けることにした。前夜に飲んだワインの酔いはもうすでに消えて、駅前カフェで正統派の仏式朝食を頂くことにした。仏式だが、お寺関係ではない(、、、念のため)。フレンチ・ブレックファースト・プリーズ、カフェ・オ・レ・アンド・クロワッサーーン、で通じてしまったから愉しい。
実は、前日に旧知の女性の指導に従ってパリ三日間メトロ乗り放題というチケットを買っておいた。チケットを買うとついてくる観光案内を道しるべに、朝食後、まずメトロでサンジェンルマンに向かった。(観光写真は阿呆らしいのでここからは載せない。)お約束通り、角のカフェで、エスプレッソを頂き散策したが、まだ時間が早くて付近のお店が開いていない。つまらないので、今度はRome通りという、東京で言うとお茶の水のような楽器屋街に行くも、ここも開いていない店がほとんど。後で気がついたが、月曜日のパリはお店が休みである確率が高い。Rome通りをずっと下り、徒歩でサン・ラザール駅の方まで降りてきて、売店でオレンジジュースのボトルを買って飲み干した。かなり暑い日であった。
サン・ラザール駅は工事中で優雅な姿は半分しか見れなかったが、駅前のオブジェが面白かったのでカメラに収める。時計がいっぱいくっついているところが意図するのはどういうことであろうか。
典型的観光客になりきったつもりでいるので、次は凱旋門に行くことにした。観光案内のパンフレットを元に、メトロでシャルル・ド・ゴール/エトワール駅を目指す。シャンゼリゼ通り方面出口(日本語でいうと妙にベタなのが悲しい。。。)を探して地上に出ると、目の前に立ちはばかるのは高名な凱旋門であった。観光客としての作法として、180度ビデオ流しと、シャンゼリゼ通り最前列での凱旋門のアップ写真撮影を敢行した。(もちろんここには載せない)地下道を通って凱旋門直下にも行ってみた。さらに凱旋門に登れるような感じでテケツが販売されていたが、お金を払ってまで怖い思いをすることはないので、早々に来た道を戻った。
フランスで一番好感を得たのは、屋根のない所では何処でもタバコを吸えることだ。見たところ、婦女子も含めて70%は喫煙者のようである。モデルのような女子が平気でくわえタバコで歩いている。さらに、タバコを吸える場所ではポイ捨てを誰も咎めないことである。おしゃれなカフェであっても足元は吸殻だらけになっている。しかしながら、翌朝には綺麗に掃除されている。つまり、掃除する人の職業が保証されているのではないかと思った。WHOの勧告ごときでヒステリックに嫌煙バンザイになってしまう東洋の外れの国民には、この経済活動のルーチンが理解できていないかもしれない。
凱旋門からチラっとエッフェル塔が見えたのでそっち方面に歩くことにした。しかし、なかなか到達しない。歩けば歩くほど男子身体の水分が、汗となり、水蒸気となり、大気中に放出されるのが分かる。いわんや、小用をもよおすこともない。このままでは命の危機とばかりにビクトル・ユーゴというちょっとした広場のカフェに駆け込んでビールを所望することにした。
お客さんはもちろんフランスのビールを飲みたいでしょう?大きさは中くらい?大きい方がいい?と聞かれて、今日は観光客の立場として自己主張せず勧められるままにウイウイ言っていると、届けられたビールは写真の通り。バケツのようなジョッキがやってきた。気温の高さ、体温の上昇度、長距離歩行の筋肉疲労度という各種のデータにビール係数を加味した結果、この馬のションベン、失礼、2リットルほどのフランスビールは10分もかからずに、体内に取り込まれてしまった。
このカフェで気がついたが、フランス白人男性はどうしてあんなに笑顔が上手なのだろうか?行きの飛行機の男性アテンダントもそうだったけれど、幼少時よりの帝王教育の結果なのかと勘ぐりたくなってしまう。ああいう笑顔をされると、何も文句を言えないばかりか、日本女子は一発で参ってしまうのではないかと、国難を危惧する。
カフェで観光案内パンフレットを見ていると、エッフェル塔は川向うで遥かに遠いことが分かったので、徒歩を降参して目の前のメトロからエッフェル方面を目指す。先人からはナニワの誇り通天閣の元になったというのがエッフェル塔だと聞かされていたが、ステファン・グラッペリと横山東六くらいの差があった。足元の緑の公園は美しく、まさに憩いの場になっていた。エッフェル塔下のカエフェで晩ご飯としてパスタを所望したが、これは半分失敗した。本格イタリア料理の鉄人みたいなことがメニューに書いてあったけれど、スパゲッティがソフト麺だった。具だくさんのソースが美味しかったので、この勝負ノーサイドを自分に言い聞かせながら、ホテルに帰ってシャワーを浴びた。この日3回目のシャワー。
夜が暇なので、昨日ホテルを紹介してくれた大和撫子日本女子に夜のお世話を頼んだら、冷たくもよそよそしくも、メールでURLをひとつ教えてくれただけ。そのページを見ると、パリ中の毎日のジャズライブの予定が記されていた。そのなかで、マヌーシュという文字を見つけて、今夜は単身そこに馳せ参じることにした。ページによると、駅から遠いちょっと面倒な場所にあるカフェということが分かったが、住所をiPhoneで参照すると、今居るホテルから歩いていけることが分かったので、GPSを便りに、インド人、ベトナム人、アラブ人、黒人、中国人が闊歩する裏通りをすり抜けながら大阪人の早歩きで現場に向かった。予定の夜9時より遥かに遅れて演奏が始まったが、フルアコ2本のおしゃれなセッションが聴けた。いわゆるジャズ・マヌーシュのような聴き様によっては凶暴とも思えるスピード感やドライブ感を感じなかったけれど、ゆったりとスタンダードをスイングさせるその演奏はその日の観光最後を飾るのには全く良い締めだった。二人のギタリストはどちらもマヌーシュなので、アメリカのスタンダードをやっていても、ところどころマヌーシュの哀愁ある旋律が顔を覗かす。酔っ払っていただけかもしれないが最高でだった。サモアで聞いた本格マヌーシュより、こっちの方が僕は好みのようだ。
暑気に負け、かなり酔っ払って1ステージだけ聴いて失礼し、帰る途中のスーパーでりんごジュースとワインを買ってホテルに戻り、ワインを半分空けて沈没。