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Django’s Tiger
Django Reinhardt et le Quintette du Hot Club de France, avec Stéphane Grappelli
31 Jan. 1946 London,
Stéphane Grappelli – vln; Django Reinhardt – g; Jack Llewellyn, Allan Hodgkiss – g; Coleridge Goode – bs;
どうです? いい演奏でしょ? この日と翌日のセッション全9曲は、特にタイトなリズムギターが素晴らしいです。
(僕の推察なので、たぶんですが、)最近のDjangoのフォロワーたちがジプシージャズと称して演奏するバンドのリズムギターはここら辺りをお手本にしているのでは無いでしょうか?特にRosenberg Trio以降のギタートリオ主体のリズムギターはまさにそのように聴こえます。
知らない人は驚くかもしれませんが、上記1946年のロンドン録音、StephaneとDjangoだけがオリジナルメンバーで、リズムギター2人とベースはイギリスのミュージシャンなんです。ジプシーはDjangoただ一人。もはやこれをジプシージャズと呼ぶにはジプシー色が希薄で、ホットジャズ以外の呼び方を考えつきません。
写真はこの時の録音風景ですが、4ビートでスイングさせているベーシストColeridge Goodeは黒人ですし、良く聴こえるリズムギターはAllan Hodgkissの弾くカーブドトップギター(Gibson L-12)です。
なんと、このF穴ギターのタイトな素晴らしいリズムを再現しようとして、現在のジプシージャズのリズム・ギタリストは、マカフェリギターを独特な弾き方で弾いているようですね。
どうして、こうなったかは諸説ありますが、一番信頼できる説としては、Django没後長い時間が経って、欧州ではDjangoの音源があまり再発されず、手に入りやすいのは、このセッションやその後のビバップ・テイストの音源だったというのがあります。アメリカでは1960年代からLPで1930年代の音源が多数復刻されていましたが、欧州のジプシージャズの先駆者たちはこのセッション辺りをバイブルにして現在の一線プレイヤーに演奏を伝授したというわけです。
では、1930年代、オリジナル・フランス・ホットクラブ五重奏団時代のリズムはどうだったかというと、まずは、動画を観ましょう。
この動画のリズム・ギタリストは、Djangoの弟Joseph Reinhardtと兄貴分Baro Ferretという二人のジプシーです。タイトというよりは、もっとゆったりとした感じでコードの響きが心地よいです。ピッキングポジションも現代のギタリストよりもネック寄りで、ギターの良い音を出しています。僕は、本物のジプシーが弾くこのリズムギターにしびれます。日本でジプシージャズを演る若い人が真似しているスカスカのチョップ音しか聴こえないリズムギターはどうも駄目です。そういうギターと演るならブラシ使ったドラムと演る方が僕はスイングできるように思います。
Djangoがジャズと出会った1930年頃、ジャズの音源ではまだまだギターよりもバンジョーがリズムを担当していました。Djangoの独特なリズムギターは、バンジョーのリズム奏法を参考にしたように聴こえます。また、彼がギターで弾くバンジョー流儀のリズムが五重奏団のリズムを決定づけ、リズム・ギタリストもそれに追従したものと思います。1930年頃の本場のジャズを聴くこと、それがDjangoへの道の近道だと確信しています。