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一般に、商業的な意味では、ブルーグラスはカントリー・ミュージックの範疇ですが、ブルーグラス・プレイヤーやその愛好家は、ブルーグラスをカントリーとは違う音楽であるとしています。聞き比べてみて分かる大きな違いは、バンドの編成でしょう。ブルーグラスが基本的にアコースティック楽器のアンサンブルで演奏されるのに対し、カントリーではドラムや電気ギター、ベダル・スチール・ギターは不可欠な楽器となっています。ブルーグラスでは、それらの電気楽器はほとんど使うことはまずありません。(例外はあります。)
それから、カントリーでは歌手とそのバック・バンドという演奏形態を取るのに対し、ブルーグラスでは、歌手やリーダーはバンドの一員であり、演奏者一丸となったアンサンブルを大事にします。これが、ブルーグラスを緊張感あふれる音楽にしている要因でもあります。
一般の日本人は、ウェスタン音楽という言葉で、アメリカの田舎を連想する音楽をひと括りにし、カントリーもブルーグラスも、このウェスタン音楽と同一視していますが、正確にはこれは間違いです。カントリーもブルーグラスも南部の音楽であり、カウボーイを連想するアメリカ西部の音楽であるウェスタンではないのです。こういった誤解は、日本にカントリーやブルーグラスが紹介された戦後まもない頃に、ハリウッドの西部劇映画やその主題歌も同時に紹介されて、混同したのが始まりではないでしょうか。(ひどいことに音楽評論家でもこういう誤解をしている輩が少なくありません。)ですから、西部劇映画の主題曲は、決してカントリーやブルーグラスでは無いわけです。
以上のことから、「ブルーグラスはカントリー&ウェスタンではない」ということがよく分かるでしょう。