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数年前から寄る年波を実感し、一昨年くらいから現実的になった成人病対策として、散歩というのを日課にしている。いや、日課というほど義務的なものではなく、天気が良くて用事がなければ、散歩に出かけることはやぶさかではないと言うような毎日が続いている。しかしながら、腰は弱ってもまだ足の方は関西人としていくらか健やかな自信を持っているので、練馬区上石神井の自宅から杉並区善福寺公園まで向かい、公園の上池と下池を一周して帰路につくという、昔で言うと二里は超す距離を歩くことを、かれこれ2年近く続けているわけである。
都内とは言え、自然のみなぎる公園で四季の移り変わりを数度見届け、そこに集う人間だけではなく動植物まで、その興廃いや盛衰いや交替の舞台転換を見続けている。
健康対策ウォーキング(実際のところは公園徘徊なのだが、)を僕が始める前から変わった動物(鳥)が公園に居た。「居た」と過去形なのは、ちょうど一年前の2012年1月17日に居なくなったからだ。その鳥は南米ブラジルあたりの原産でご当地では食用として養殖されているが、本邦では変わり者がペットとして飼育しているという、バリケンという名前の、アヒルよりも大きい七面鳥くらいの大きさの鳥だ。
ぐぐってわかったけど、全国的に、飼い主が離して野生化したバリケンの目撃情報があるようだ。無責任甚だしい。
いろいろな目撃情報をまとめると、数年前にこの善福寺公園にツガイで住み着いたものが一羽になったようだった。公園内を闊歩する散歩犬の恫喝にも怯えず、愛想人間にも媚びず、その孤高の姿に僕は感動してブルース君と名付け、一年足らずの間、会いに行くのを楽しみにしていた。
一年前の2012年1月17日は東京に大雪が降った日だ。さすがにこの日は僕も散歩に出かけなかった。積雪が残っていたが降雪の終わった翌日公園に行ってみるとブルースは居ない。また翌日も居ない。そのまた翌日も居ない。
ブラジル原産の鳥は寒さに弱かったようだ。しかも、もともと好事家が飼っていて手に負えなくなって公園に離したような個体では完全な野生化も無理だったのだろう。毎日交替で餌をやりに来る人間に食事を頼りきっていたようだ。たぶん大雪の日にはその人も来なかっただろう。
ブルースが居なくなって1年経ち、公園は再び積雪した。それで、元気な頃のブルースの写真が有ったことを思い出して駄文を書いてみた。