BLOG

2005衆議院選挙Update : 2005/08/20 Sat 03:34

ネット関連企業の社長でありながら、最近マネーゲームの破廉恥さで国中で有名になった某氏が衆議院選挙に立候補するらしい。それも地元ではなく、住民票を無理矢理移して、よその選挙区でということです。

僕がその選挙区の有権者だったら、彼にはぜったいに投票しませんが、いくつか評価できる点もあります。選挙資金は並の政治家より潤沢でしょうから、国民的知名度を併せて、無所属でも大丈夫という勝算だと思いますが、大政党の公認を貰えたにも係わらず、無所属で出るのは潔いですね。また、郵政民営化全面賛成を打ち出して、同選挙区でそういうポリシーの立候補者が居ないから、わざわざ住民票を移して立候補というのも、目的がはっきりしていて良いと思います。

逆に、評価できない所は、書き出すと切りがありませんので、最大の問題点のみ記します。郵政民営化全面賛成と言うのは分かりましたが、他の政策が全く見えてこないことです。政治家を志向するのであれば、自身の政治家としての政策をきっちりと明言できるだけの準備とスキルが必要だったでしょう。

ここまでは、バカエモンを肴にしての前書きです。本題を書く前に、僕は郵政民営化には賛成できない立場であることをまず述べておきます。詳しくは政治専門のサイトをご覧頂くと良いのですが、外圧と金融業界からの圧力でこの愚策が強行されようとしているからです。マネーゲームを外資に頼っているバカエモンが郵政民営化全面賛成を打ち出すのは至極当然なのです。

さて、とりあえずは失敗に終わりましたが、今回の郵政民営化法案採決の強行は、国民を欺くインチキ料理の前菜に過ぎません。その後に控えているメインディッシュ、大きな問題を皆さんは忘れてはいませんか?憲法改正問題がそれです。国民の大勢が反対あるいは無関心な郵政民営化の強行は、憲法改正の強行のリハーサルではないでしょうか?あるいは踏み絵とも言います。

先の大戦中に日本のミュージシャン、それも当時のポップスであったジャズ系のミュージシャンは本当に辛い目に遭いました。自分の音楽を演奏することを許されずに、尻尾を振って愛国音楽を演奏するしか生きる道がありませんでした。反抗してジャズなど演奏しようものなら、非国民扱いか、政治犯として逮捕です。(映画にもなった「上海バンスキング」ではその音楽家としての苦しみがシンボリックに描かれていますから、ご覧になっていない音楽ファンは、ぜひご覧下さい。)戦前、昭和10年代の日本のジャズは、本場アメリカとリアルタイムにシンクロしていました。太平洋という距離を隔てていても、日本の一流ジャズミュージシャンは、本場と同じスタイルで同じジャズを演奏していました。ところが戦争でジャズ演奏の禁止が強要されたために、敗戦直後はアメリカに10年以上の音楽的後退をしてしまいました。戦時中に花開いた、現在のジャズの直接のルーツであるビバップを。日本のミュージシャンの多くがちゃんと理解できるまでに10年近くの時間がかかったのです。音楽だけではないでしょう。他の芸術も同様でした。ナチスが支配したドイツでも、退廃芸術というレッテルを貼られた多くの芸術家が苦悩の日々を過ごしました。

つまり、何を言いたいかと言うと、憲法改正により、日本の戦闘能力・戦闘参加を国や国民が肯定することにより、「戦時」が何時起きてもおかしくない時代になるということです。戦時となれば、全体主義的な施策で、人々を好戦的な感情に誘わない音楽や芸術は、淘汰されることになるでしょう。一昨年、アメリカで一番人気のDIXIE CHICKSという女性カントリーバンドが、ブッシュの好戦的な政策に対しての反戦的コメントと演奏をおこなっただけで、本国で干されたのが良い例です。ほとんどの音楽・芸術は感受性や情緒に訴えるものですから、戦時となれば、全てが排除されます。音楽を演奏するあなたは、そういうことを考えたことがあるでしょうか?あなたの好きな音楽が日本から消える日が来るかもしれない恐怖を感じてください。

郵政民営化には反対ですが、郵政民営化の云々をマスコミや政治家がうるさくまくしたてる裏で、今まさに憲法改正への忌まわしきレールが敷かれようとしているのです。自民党は、今回の選挙の争点は郵政だと言うけれど、立候補者は全て、憲法改正に対する所感を述べるべきです。まず、自民党や民主党、それに公明党は参戦権(集団的自衛権というのは詭弁であり、この世の中ではあり得ない)を憲法改正に際して条文に盛り込むでしょう。妄信的愛国者は別として、心ある音楽家・芸術家・演奏家の皆さんは、これらの政党の悪魔的な改憲論をよく吟味して選挙に臨んでいただきたいです。自民党・民主党・公明党以外の議席が1/3を超えなければ、憲法が容易く改悪されてしまいます。

憲法改正に対して、ホリエモンはノンポリを通すのだろうか?

▼ Comment form